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工房BLOG

oncanのネオン職人 山本祐一によるブログネオンについての豆知識から活動のお知らせなど

ネオンの美しい映画14&15/アメリカの東と西のネオン

category : おすすめのネオン

日が長くなってきました。大阪 緑橋のネオンの工房も少し仕事が落ち着き、ガスバーナーのメンテナンスや、暑さに負けないように体調を整えることが出来ています。少しでも時間があくと出かけたくなる気分に。2010年の西海岸の旅行のスナップを懐かしくなり開いたら、どの写真もネオンの写真。ちょこっとだけ、大リーグ観戦の写真があるだけで、我ながらおかしいなアルバムだなと旅を思い出しています。

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このところ「ネオンの美しい映画」シリーズ更新していなかったなとWeb担当はBlogを言い訳にDVD鑑賞。無意識でしたが、どちらもアメリカを舞台にした作品だったので同時にご紹介します。ニューヨークブロードウェイでロングラン上演されている「CHICAGO」と1970年代のカリフォルニアに実在したハーヴェイ・ミルクを主人公にした「MILK」です。

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まずは、そのタイトルがズバリ舞台となる地名「シカゴ」。ブロードウェイのミュージカルが、題材となる映画は多いのですが、こちらの作品はストーリーの展開とミュージカル仕立てのシーンのアレンジがとても軽妙で引き込まれます。時代背景は禁酒法時代。殺人を犯した女囚たちが収容される刑務所で出会う主人公2人 をレニー・ゼルウィガーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズが演じます。その彼女達の弁護士として登場するリチャード・ギアが、キャラクターを存分に発揮して、裁判官、陪審員はもちろんのこと、新聞記者などのメディアをどんどんと自分の策略に巻き込み、無罪を主張していきます。

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この映画のなかで、ネオンサインは実はワンシーンにしかでてきません。キャサリン・ゼタ=ジョーンズが演じる、ヴェルマ・ケリーのダンスシーンで赤いボーダーのネオンが舞台に光っています。シンプルな舞台美術のなか、ダンスがよく映えます。素晴らしい音楽と、舞台仕立ての展開に「皮肉たっぷり」な社会風刺が織り込まれているにもかかわらず、観ていてワクワクしてしまいます。ラストシーンの主人公2人によるステージは、映画のなかで拍手をおくる観客と一緒に立ち上がりたい気分になります。

 

ショーン・ペン主演の「ミルク」でも、ネオンのシーンはごくわずかです。1970年代のアメリカ、ゲイの人たちが市民権の得られていなかった社会でサンフランシスコ・カストロ通を拠点に活動していたハーヴェイ・ミルクとその周辺の人たちのドラマ。非常に繊細で、また情に厚い主人公のキャラクターを難しいバックグラウンドも含め、ショーン・ペンが演じ切っています。ショーン・ペンはアカデミー賞主演男優賞を、作品賞他8部門にノミネート、アカデミー賞脚本賞もとっている作品です。

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映画の中に登場するネオンサインは、そのカストロ通りのカストロ・シアターのネオンサイン。調べてみたら、「カストロ・シアター」は、1910年創業で1922年に改装。1976年には国の歴史的建造物に指定されている名所にもあげられる映画館ということ!華やかなネオンサインが夜の通りにデモ行進する人の後ろにチラリと見えます。活動に邁進してた50才目前の主人公は、銃弾で打たれ悲しいエンディングではありますが、全編をとおして流れるミルク氏の「遺書」がメッセージとして強く残る映画です。

なんと、この両作品ともプロローグは殺人事件からはじまるのに、まるで対照的なエンディング。どちらも見応えのある作品です。ネオンサインもほんのちょっとだけ、味付けに参加しています。季節の変わり目、お出かけをお休みの時などに、よろしければ、ご覧下さいませ。